2022/09/27

シンクロニシティ

Yさんとの間でシンクロニシティの話題が出たので改めてこれを説明しようと思う。
この言葉、一度は聞いたことがあるのではないだろうか。
しかしそれがどういう意味かということを明らかに説明することはなかなか難しい。

そもそもこの世には二つの「事の起こり方」がある。
一つは「因果」であり、もう一つが「共時」なのである。
この「共時」のことを、シンクロニシティと言っている。

その内容だが因果とは「AがBの発生の原因となった」「AがBの発生に影響した」ということである。
例えば「酒を飲み過ぎて肝硬変になった」これは酒が原因Aで肝硬変が結果Bだ。

一方、共時は「XによってAとBが同時に起こった」「AとB自体は無関係だが、共にXによって同時的に発生した」ということ。
例えば「コロッケを食べたいなあと思っていたら、友達がコロッケを持ってきてくれた」
この場合「コロッケを食べたいなあ」が結果Aで、「友達がコロッケを持ってきてくれた」が結果B、そしてこの両者を起こしたXが何であるかは謎である。

人類の精神史の発達を紐解くと、あらゆる文明において因果と共時は共に力の二大原理として捉えられていた。
因果の方は主として技術を発達させる元となった。
AをするとBになる、というのは技術である。
共時の方は主として宗教を発達させる元となった。
Aを願うとBが起きる、というのは宗教である。

しかしヨーロッパで近代科学が勃興するようになると因果が全てを説明し得る方便と見なされるようになり、一方、共時の方はオカルトとして冷遇されるようになった。
近代精神はこう考える。
「コロッケを食べたいなら揚げ物屋に行きなさい」
つまりコロッケを得るという結果Aを起こすには揚げ物屋Bに行けという因果でコロッケ問題を処理するのである。
「コロッケを食べたいなあ」と座ったままで願っているなど何事だ、となる。
このコロッケに、愛、幸福、平穏、金、名声、健康など、好きなものを代入して下さい。

日本を含め世界中の多くの地域は西洋発の科学を受け入れることで今日に至っているので、私たちは自然と、因果の方に慣れ親しみ、共時を信用することが出来ない――または信じ込みすぎると行き過ぎたスピ系と化す――という状態に陥っている。

シンクロニシティが起きることは「流れに乗っているサイン」とよく言われる。
まあ、それは確かにそうである。
しかしあまり注目しなくて良い。

私が言いたいことは
「シンクロニシティに驚くな」
「それは古来、世界の当然である」

とは言ってもシンクロニシティが起きる時、私たちは何かとても得難い不思議なものを見た気持ちになる。
願っただけで、誰かがコロッケを持ってきてくれる。
そりゃ、嬉しいものだ。

これは自然な反応だ。
だから素直に喜ぶと良いと思う。
ただ繰り返すが、そこにあまり意味を見出そうとしない方が良い。

原因Xは永遠に謎である。
謎だからこそ、シンクロニシティが成立しているのだ。


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10月10日(火祝)牡羊座新月
10月16日(日)11時瞑想教室(オンライン2000円/アトリエ3000円)
10月25日(火)蠍座新月

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