夢というのは面白いもので、見れば見るほど豊かさを増していく。
ということは逆に、見なければ見ないほど、貧しくなっていく。
ここで言う夢は、いわゆる「イメージ」のことだと思って頂けると良い。
「夢」はイメージのぴったりの訳語ではないだろうか。
最近の一連の絵はだんだん、夢の豊かさを増している。
絵でもお話でも、どれだけ空想をふくらませることが出来るか、ということが重要である。
小さな物語を考える、というか思いつくままにする。
すると例えばある絵では、
「犬がハンチングをかぶって子供の手を引いている。コートの柄はこんな感じで、まだ春は来ていないが寒さはずいぶん和らいでいる。そしてこの子供は迷子なのだ。二人が立つ場所は…神社の境内だ」
なぜ、そう思い付いたのかというのは、謎である。
思いつきながら描き、描きながら思いつく。
こういうことが、夢が貧しい時には出来なかった。
出来ないと分かっていたので描かなかった。
夢は心を自由にし、解放してくれる。